肉眼で行う歯周病治療は汚れを見ずにとっている!?
歯周病の原因は細菌です。
よっていかに綺麗に汚れを取り除くかが治療の鍵になります。
進行した歯周病では直接目で見て確認できないほど歯茎の奥深くに汚れがついています。
従来の方法では指先の感覚を頼りに歯石を探り出して取るという手法が主流です。
ご自身で耳かきをする時をイメージしていただけるとわかりやすいかもしれません。
「キレイに耳垢が取れている」と自分で確認できますか?
この方法で病状が改善されない場合に手術による改善を図ります。
歯茎を切開し、歯石を探しやすいようにして除去するというのが一般的な処置の流れとなります。
しかし、歯茎を開いて歯石除去を試みた場合であっても肉眼による処置を行った場合は取り残しが生じる可能性が報告されています。
歯周病の重症度を判定する検査として歯周ポケットを測定します。
この歯周ポケットの検査値が4mm(正確には3.73mm)を越えると通常の歯周病治療では、感染を取り除くことが困難であるとされております。
[ 論文報告 ]
・歯周ポケットの深さが3.73mm以上になると、歯石を取り残す可能性が高い。
Stambaugh RV, DragooM, Smith DM, Carasali L: The limits of subgingival scaling. Int J Perio Rest Dent, 1(5): 30-41, 1981
・5mm以上のポケットでは、歯石を取り残す危険性が非常に高い。この論文では89%取り残していたという結果であった。
Waerhaug J: Healing of the dento-epithelial junction following subgingival plaque control. Ⅱ: As observed on extracted teeth. J Periodontol, 49(3): 119-134, 1978.
・非外科処置も外科処置も、術後に実体顕微鏡(=手術用顕微鏡)で確認すると歯石の取り残しがみられた。
切開剥離による処置をしても3mmまでの浅い歯周ポケットでも処置後に14%歯石の取り残しがあり、4~6mmでは24%、6mm以上では50%取り残している
Caffesse RG et al: Scaling and root planing with and without periodontal flap surgery. J Clin Periodontol, 13: 205-210, 1986.
先述の通り、一般的な歯周病治療では歯周ポケットの値が大きい場合には、歯肉に切開を加えて大きく開き内部の状態を確認しながら感染を除去していました。
この治療方法をフラップ手術と呼びます。
この方法は実際に汚れを見ながら除去できるという利点がある反面、大きく歯肉を切開するためダメージが大きく、術後は歯肉が下がってしまうケースが少なくないと考えられます。
清水歯科藤沢院では、深い歯周ポケットに対しては顕微鏡を用いて切開を加えずに歯周ポケットから、ちょうど内視鏡のように感染を確認して汚れを取り除きます。
先ほどの耳かきの例を引き合いにすると、
「誰かに覗いてもらいながら耳掃除をしてもらう」ようなものです。
その上で顕微鏡で内部を見ながら行うと考えると、どちらが有利でしょうか?
このことから必要最小限に抑えて中を触るため身体へのダメージも少なく処置後の治りが良いと考えています。