成長発育中の子供には基本的にはインプラント治療は適応になりません。現在のインプラントは骨と結合するため顎骨の発育に伴って骨の中に埋没してしまうからです。
一般に女性は18歳、男性は20歳くらいになると骨の成長が止まるのでそれ以降に治療を始めるのがよいと言えます。インプラント治療は歯がなくなる40歳後半から60歳代が中心となりますが、高齢者でも抜歯などの手術を受けられる健康状態であれば可能です。
手術を伴うので誰でも受けられるというわけにはいきません。
心臓疾患で症状が重い人や安定していない人は難しくなります。
国民病として問題になっている糖尿病患者様は手術後の傷の治りが悪くなり、感染の危険性が増します。
骨を作る細胞の機能や数が低下して骨結合できなくなる恐れがあり、治療後にはインプラント周囲炎を起こしやすくなります。血糖値がコントロールされていない人ではコントロールされるまで治療は延期する必要があります。
50歳以降の女性に多い骨粗鬆症は骨が柔らかいより硬い方が臨床成績が良い為、リスク因子となりますがインプラント体の埋入方法や骨結合しやすいとされているインプラント体の使用などにより対処できます。
しかし、患者が予防薬あるいは治療薬としてビスホスフォネート製剤を使用している場合は、手術後に顎骨の壊死に至ることがあるので注意が必要です。投薬の種類や期間などによっては治療可能ですので、ご相談下さい。
インプラント治療には色々な金属が使用されます。インプラント体はチタンが使用されています。
チタンは金属アレルギーを起こさないと言われていたこともありましたが、ごく稀に人によってはアレルギーを起こす事が報告されております。特に他の金属に対してアレルギーのある人はチタンに対しても引き起こす可能性がある為、パッチテストや血液による検査を受けておいた方が良いと思われます。
喫煙により粘膜の血液の流れが悪くなって、傷の治りや骨の治りや骨を作る細胞の増殖や分化に影響し骨の治癒が遅れたりします。
論文においても喫煙者と非喫煙者では失敗率が喫煙者の方が高いと報告されています。
喫煙は手術の結果に影響を与えるだけでなく、治療終了後の経過にも影響を及ぼすので禁煙をメインテナンス期間に入っても続ける必要があります。
最近ではインプラント治療が歯を失った時の治療として最も優れた治療のような風潮がありますが、お伝えしたようなインプラントが向いていない条件(年齢や心臓疾患、コントロールされていない糖尿病、喫煙など)がある場合はインプラントを控えた方が良い場合があります。
実際に治療を受ける前に他の治療方法に関しても検討してみましょう。